平成29年度夏季研修会のご報告

 まだまだ暑さの厳しい8月25日(金)中央区立佃中学校にて、元全中社研会長 赤坂 寅夫先生を講師に迎え、「次期学習指導要領(中学社会 地理的分野)の解説」を主題に、主に若手教員を対象としたご講演をいただきました。
 最初に、学習指導要領の変遷についてお話がありました。赤坂先生が講師の時は、受講者が主体的に参加できるように、突然、指名されることがあります。私も過去に指名されたことがあり、緊張感を持ちつつ、ワクワクしながらお話を伺っていました。私は、「スプートニクショック」について聞かれ、何とか答えることができました。学習指導要領の変遷は、新学習指導要領の考え方に至る経緯を知るとともに、その特徴を知る上では重要な内容でした。
 次に、地理的分野の目標・内容についてお話がありました。今回の改訂の目玉である「見方・考え方」についてお話がありました。「社会的事象の地理的な見方・考え方」は、例えば、「人間と自然環境との相互依存関係」等、我々教員にとっては難解な言葉のように見えました。しかし、新たな内容ではなく、現行学習指導要領を踏襲しているというお話を聞き、少し安心しました。
 内容の話で印象的だったのは、「世界の諸地域」と「日本の諸地域」です。「世界の諸地域」では、「地球的課題」について、受講者とともに議論を深めました。例えば、地球環境問題、平和、人権問題など様々なテーマがあげられました。受講した社会科教員の専門や関心のある分野によって、「地球的課題」はいろいろあることが分かりました。
 「日本の様々な地域」の学習については、内容構成が変わったことが話題になりました。現行学習指導要領の「身近な地域の調査」では、調査に必要な知識・技能を身に付けるとともに、実際に調査を行い、追究、発表をするなど、一つの単元であらゆる学習活動が示されています。しかし、新学習指導要領では、「日本の様々な地域」の最初で、調査に必要な知識・技能を身に付け、単元の最後「
地域の在り方」で、追究活動を行う改訂がなされたことが分かりました。そして、この単元における「地域」は必ずしも学校区だけでなく、東京都全体、他の地域を扱っても良いことが分かりました。「地域の在り方」は、考察するだけでなく、「構想する」ことが重要であることを先生は強調されていました。
 内容が豊富で、しかも学校の授業のようで楽しく分かりやすいご講演でした。

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